【#1】本当の自分を生きること。本領を発揮すること。

コーチング、トランジション・タウン、
チェンジ・ザ・ドリームなど様々な活動を
日本に持ち帰り、実践してきたヒデさん。

一方で、私たちと同じ「父ちゃん」でもある。

ついつい、父ちゃんになることと、
自分らしく生きることは、
トレードオフの関係に考えがちである。

一方、ヒデさんはお子様の誕生で
より一層「自分らしく生きる」と覚悟が決まり、
さまざまな活動を続けてきた。

長年、探求と実践を続けてきたヒデさんに、
父ちゃんとして
「本当の自分を生きること」
の意味を伺った。

〜プロフィール〜

ヒデ / 榎本英剛 さん

よく生きる研究所 代表

大学卒業後、株式会社リクルートに入社。
1994年に同社を退職後、
米国サンフランシスコにある
CIIS(California Institute of Integral Studies)に留学し、
組織開発・変容学を専攻、修士号を取得。

その後、留学中に出合ったコーチングを
日本に拡げるためにCTIジャパンを設立
(現在は退任)

また、持続可能な未来を市民の手で創るため、
トランジション・タウンや
チェンジ・ザ・ドリームを日本に紹介した。
「トランジション藤野」発起人。

現在はよく生きる研究所の代表を務める。

「理」より「意」を大切にする。

ヒデさん本日は宜しくお願い致します!
これまでさまざまな活動を通じて、
「生き方」を探求されてきたかと思うのですが、
ヒデさんにとって
「本当の自分を生きるとは?」について
はじめにお聞きしてもよろしいでしょうか?

わかりました。

本当の自分を生きるとは、
もっと平たい言葉で言うと
「自分らしく生きる」
ということかなと思っています。

ただ、自分らしく生きると言うことは簡単だけど、
実際するとなると簡単なことではない。

まず、
自分らしさってなんだろう?
というところからみなさん悩みますよね。

そして、
どうしたら自分らしく生きられるんだろう?
とまた悩む。

自分らしさを日々の生活の中で
発揮する、表現するということはとても難しい。

もちろん正解があるものではないので、
問いはとてもシンプルなんだけど、
実践するのはシンプルではない。

そういうものかなと思っています。

自分らしく生きるとは?
問いはすごくシンプルだけど、
難しく、答えがない。
この問いに長年向き合い続けているヒデさんが、
大切にしていることはございますか?

自分らしく生きる上で大切だなと
これまでの実践経験から感じたことを
8つのキーメッセージにまとめています。

(参考書籍:本当の自分を生きる 
著:ご本人 https://www.shunjusha.co.jp/book/9784393365502.html)

その中の1つを例に挙げると
「内なる声に耳を傾ける」ということ。

本当の自分らしさはどうしたらわかるんだろう?
と僕も若い頃考えていました。

その時に思ったのは、
自分でも説明できないような、
自分の中から湧き上がってくる考えや想い。
僕はこれを「内なる声」と呼んでるんだけれど、
この声に耳を傾けるというのが1つのきっかけに
なるのではないか、という風に考えたんですよね。

自分の中にはさまざまな声があるんだけれども、
”理屈で説明できてしまう”ような考えというのは
外から来ている場合が多い。

自分ですらわからない、
”理屈で説明できないもの”は、
ある意味ピュアで、自分独自のもの
なのではないかと捉えてみたんです。

その声が指し示している方向を、
何の確信も確証もないんだけれども、
1つのサイン、ヒントとして受け止めて、
1歩を踏み出してみる。

そういうことを繰り返していると、
もしかしたらその自分らしさが
見えてくるかもしれない。
そういう仮説を持ってこれまで生きてきました。

理屈で説明できないことに一歩踏み出すことって
すごく難しいことでもあると思うんですけど、
ヒデさんがそう考えられるようになった
背景とかはあったんですか?

僕にとって1番大きな転機になったのは、
内なる声が、この言い方が適切かどうか
わからないのですが、
「天からの贈り物」なんじゃないか
と思ったことだったんです。

理屈で説明できないような声が自分の中から
湧いてきた時に、
それが世の中の常識と異なると、
「これは関係ない」とか「これはどうでもいい」
と思って流してしまう人がほとんどでしょう。

僕はそうではなく、
こうした声は「本当の自分を生きるために、
天が自分に与えてくれた贈り物」なんじゃないか
と捉え、意識を向けるようになったんです。

つまり、この考え自体が自分にとっては
“内なる声”だったわけです。

もちろん、そうだという確信があったわけではなく
最初は実験でしかなかったんだけど、
以来この仮説をもって30年近く生きてきた今では、
内なる声は決していい加減なものではなく、
実際にその人が自分らしく生きる上で
すごく意味のあるものだという確信に変わりました。

なるほど。
実際1歩動き出してみた時に、
ヒデさんの中で、変化などはありましたか。

その当時、僕は海外に留学したいんだけど、
そのためには会社を辞めなければならず、
どうしようかと迷っていました。

ですが、その迷いが「内なる声は天からの贈り物」
という声を聴いたことで一気に吹っ切れました。

そしてその後、実際に会社を辞めて
アメリカに留学したことで、
それまで抑えられていたものが取れて、
パーンって前に弾き出されるような、
圧倒的な推進力が生まれたというのが、
その内なる声に従った効果だったと思います。

アインシュタインは
「人生で一番重要な決断は、
宇宙を友好的な場所とみるか、
それとも敵対的な場所とみるかである」
という言葉を残しています。

私はまさにこの言葉の通りだなと思っていて。

自分の中から湧いてくる、この内なる声が
天からの贈り物だと捉えることで、
天がまさに自分に味方して
応援してくれてるんだ
と思えるようになったんです。

多くの人は、世界は敵対的な場所だ
という風に捉えてるから、
自分の防備を固めて、しっかり理論武装して、
競争にも打ち勝っていかないといけないと
思ってる。
ちょっとでも気を抜いたら
足元をすくわれてしまうような
弱肉強食的な世界観で生きてるから、
それが不安やストレス、恐れを
生み出しているんじゃないか、と。

一方で、自分は天から応援されてるんだと
思えるようになると、
自分にとって望ましくないようなことが起きたり、
共感できない人との出会いがあったりしても、
全て自分にヒントを与えてくれてるものだ
という風に捉えるようになり、心が開いていく。

僕もそれまでは世界に対して
ファイティングポーズをいつも取ってました。

でも、そう思うようになってからは
なんでもこい!ではないけど、
自分の人生で起きてることは、
自分にどんなメッセージを送ってくれてるんだろう
と考えられるようになった。

精神的に安定したというか、
ちょっとやそっとでは動揺しなくなりましたね。

何が来ても、自分が本当の自分を生きる上での、
ヒントであり、サインである、
と捉えることによって、
地に足がついた感じがしました。

恐れや不安から自分の身を守ろうとして
私たちが使っているエネルギーは、
思ってる以上にものすごいと思うんです。

もしも、そのエネルギーを
全て本当の自分を生きるために使えたとしたら、
どんな可能性が自分の人生に開けるか、
ぜひ考えてみてください。

確かに、不安やストレスに
多くのエネルギーを使っている気がします。

ちょっと話は逸れますが、
理由の「理」と意志の「意」の違いって
わかりますか?

「理」の方はどちらかというと、
過去の経験に根差している。
不安と恐れのエネルギーと
繋がっている感じがある。

一方、「意」の方は、
未来に向かって開かれてるので、
不安とか恐れというより、
愛と信頼のエネルギーと
繋がっている感じがしています。

つまり、エネルギーが向かう矢印が
違う気がしてるんです。

したがって、人生を生きていく上では、
やっぱり「理」よりも「意」が大事なんじゃないかな
という風には思いますね。

【#2】へ続く

この記事に関わったTOCHANSは...

榎本 英剛

よく生きる研究所 代表

「よく生きる」ことをテーマに独自のプログラムの開発および提供、著作、講演などを行っています。

八木 俊樹

TOCHANTO編集長

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