汚れたら「捨てて新しいの買ったらいっか」の繰り返し
今日は八木ちゃんが大森アイカさんを通じて「スローファッション」に出会ったことで、洋服の選び方や未来に対する考え方が大きく変わったという話についてお伺いしたいと思います。
どうぞよろしくお願いします。
お願いします!
まず、八木ちゃんは元々、洋服はどんな風に選んでいたんですか?
学生時代は比較的服が好きで、アパレルショップでバイトしたり、古着屋を巡ったりしていました。
なので、トレンドを追いかけてどんどん洋服を買い替えたりとか、古着屋でどんどん集めたりしていましたね。
しかし、社会人になると、平日はずっとスーツ。休日しか私服を着ないようになって、どんどん洋服への興味が薄れていきました。
私服を着る機会が減りますもんね。
たまにセレクトショップに行くけど、何がオシャレなのかわからなくなってきて(笑)
そうすると、たまに買うけどあんまり着ない服とかが増える一方で、結局白Tとジーパンばかり着るようになってしまったんですね。
手軽ですしね。
ちょっとボールペンの線がついたり、取れにくい汚れがついちゃうと、安いからいっかという感じで、捨てては同じものを買う、を繰り返したんですね。
子どもが生まれてからは、さらに汚れがつくので、もうええわ!って感じで捨てては買う、を繰り返していました。
正直、八木ちゃんの周りにもそういう人、多いのでは?
そうだと思います。
僕の周りもだんだんおしゃれに興味がなくなって、とりあえず白T、みたいな友達が増えたかなと思います(笑)
アイカさん、スローファッションとの出会い
アイカさんに出会った経緯はなんだったんですか?
僕は事業を模索していたころに、社会起業家向けのボーダレスアカデミー( https://academy.borderless-japan.com/ )という講座に参加していました。
アイカさんも一緒に「服の廃棄問題」に取り組みたいと参加されていたんです。
そこでお話する機会があって、まさに僕みたいな人をどうにかしたいと思っていたみたいで。
社会起業家講座で一緒だったんですね。
そうです。
僕が汚れたらすぐ捨てる、みたいな話をしたら、ちょっと引かれるぐらい衝撃を持たれて…
そうなんですね(笑)
「そんな捨てるんや、そのくらいの汚れで!」みたいな。
そして、アイカさんの「スローファッション」の活動を聞く中で、洋服って作る段階から水を大量に使ったり、原材料の栽培する人の農薬被害などを知りました。
本当に多くの環境問題があると聞いた時に、僕が当たり前のように捨てては買うを繰り返している裏側で起こっていることに衝撃を受けて。
それから自分でも調べるようになりました。
服の裏側ですよね。
同時期に偶然、パタゴニアの元日本支社長、辻井さんという方の講演会も聞く機会がありました。
服を作ることで、地球温暖化が進んでいたりだとか、栽培者が命を落としていたり、ラナプラザ事件(インド・ダッカ地方で、縫製工場が入るビルが崩壊し、アパレル産業を中心に1,100名以上もの労働者が犠牲になった)の話を聞いた時に、今まで自分がしていた(すぐに捨てて新しいものを買うという)行動が、もしかしたらそこに加担していたのではないかという感覚になったし、こうやって服を使い続けると、娘が大きくなった時に、「父ちゃんの服の着方のせいで」みたいになったら嫌だなと本気で考えるようになりました。
洋服が好きなだけに、衝撃だったかもしれませんね。
そうなんです。
それで、アイカさんから1着でいいから「スローファッション」に取り組んでほしいという思いを聞いて、自分が着る服に対する考え方が少しずつ変わっていったというのが経緯です。
実際、どうやって変わっていったんですか?
まず、今までのように捨てること、買うことに戸惑いが出てきました。汚れたから捨てる、ではなくて、どう長く、大切に着ようか?と考えるようになりました。
処分する時にも、お店に設置している回収ボックス、再利用や循環をしてくれる場所にちゃんと捨てるようにという意識に変わったように思います。
まずは捨て方から変わったという感じですね。
そうです。
あと、本当に恥ずかしくて、当たり前なんですけど汚れてもちゃんと洗うとか(笑)
長く大切に着ようという気持ちがさらに深まりました。
でも、すごく大切ですよね。
買い方にもこだわるようになりました。
天然素材とか、コットンも農薬を使わないオーガニックコットンを選ぶようになったりとか。
農家さんに害のない状態というか、環境被害ができるだけ少ない状態で作られているか調べてから買うようにしたりとか。
自分が新しく買ったものは、結構語れるように なってきてるかな。
他にも靴下とかだと、永久保証の靴下を買ったりしています。
永久保証ですか!?
そうなんですよ。穴が空いたら、新しいものと交換してくれる。
完璧ではなくても、今よりいい選択をすることを、意識するように変わってきたなと思ってます。 結構、行動面としては変わってきてます。
今日から始める、スローファッションの第一歩
今のお話を聞いていると、まずは父ちゃんたちに「安いからではなく、長く着られるもの何か1着から始めてほしい」というのが伝わってきました。
八木ちゃんが最初に取り組んだ1着はなんでしたか?
下着のパンツです(笑)それこそ、しょっちゅう買っていた化学繊維のパンツからメリノウールのパンツを買ってみたんですね。
ウールなので、動物性の素材ですが、動物のことを考えている企業がやっているかとかもちゃんと調べたりして。それに、僕はランニングとかするんですが、ランニング後で汗だくになってても、シャワー浴びた後にはパンツが乾いていて、しかも全然臭くないんですよ。
それはメリノウールの特性として速乾性があるってことですかね。
そうですね。それから消臭作用もあるそうです。単純に機能性の良さもあるんですが、僕個人的には履き心地がいいと思っています。
それから上の下着は何がいいんだろう?Tシャツは?、ズボンは?、と考えるようになりました。
これまではデザイン、値段ばかり見ていましたが、素材から確認するようになりました。
これはポリエステルだけど、リサイクルのものを使ってるなとか。
どんどん意欲が湧いてきて、結構調べています。
なるほど!下着の話、もう少し聞いていいですか?(笑)
買う前に心配はありませんでしたか?今までのに比べてかなり高いのではないかと。
それに、これまでの習慣を変えるってすごい大変じゃないかなと思いますが、どうですか?
そうですね。今までのパンツに比べて5、6倍高いんですよ。
下着とはいえ、値段的にすぐには手が出なくて、パンツにこの値段払っていいのかなっていうのがありました。
パンツって比較的消耗品なので、すぐにヨレてしまって頻繁に買い替える必要があるのに、この値段で大丈夫か?というのが心配でした。
なので、まずは1着だけ買いました。今までは3、4枚まとめて買っていましたが。
実際はどうでした?
耐久性みたいなところも全然問題なくて よかったなと思っています。
むしろ、同じ時期に履き始めた今までと同じパンツとかはよれてきたりはしてるので、ちゃんとつくって頂いている分、安心できるんだなと感じています。
八木ちゃんと同じように始めるときにおすすめのブランドとかありますか?
先ほどから紹介したメリノウールのパンツは「icebreaker(https://www.goldwin.co.jp/icebreaker/)」。永久保証の靴下は「ライフロングbyグレンクライド(https://www.lifelong-glenclyde.com/)」と言うブランドを買いました。
最初は勉強の1年だと思って、1枚ずつ試してましたね。
まさに「スローファッション」ですね。あとはどうですか?
ミーハーかもしれないけど、やっぱり「パタゴニア (https://www.patagonia.jp/home)」ですかね。
キャップ、Tシャツ、ボトムとか。悩んだらパタゴニア1着持っとこう、みたいな感じになってます。よく考えたら、最近はほぼ全身ですね(笑)
アウトドアが好きなんで、以前から知っていたんですがあまり買ってはいなかったんですよね。でも、今は考え方からかっこいいブランドだなと思って選んでいます。おすすめですね。
パタゴニアは環境問題と向き合ってますもんね。
そうですね。あと、最近興味があるのは、「アシックス( https://www.asics.com/jp/ja-jp/mk/mirai )」とかも。僕はランニングをするんですけど、使い古したランニングシューズを回収してくれるところってないんですよね。それを最近アシックスさんが始めたって聞いて。
語り合える「新しいおしゃれ」を
ここまで大きく考え方や行動が変わったきっかけってなんですか?
先ほどもちらっと言いましたが、僕の中では服を使い捨てしていたことで、やっぱり様々な問題に加担していたという感覚があって。
また、調べていく中で、なぜこの服は安いのか?というのがわかってくると、原材料を作られてる方の農薬被害とか、安い賃金とか考えると、自分の服はそういうものを排除したところがいいなと。
そう考えた時に、これまでの選択肢や安易な考え方は適切でないなとなってきました。
安いからという理由だけで選んでいるのだとしたら、一度考えてほしいってことでしょうか?
そうですね。
「スローファッション」を始めるのに、何から着手すればいいでしょうか?
まずは1着、僕みたいに下着や靴下からでもいいと思うので、選び方を変えてみてほしいですね。
まずは父ちゃんたちに1着でいいから、「スローファッション」に変えてほしい。そして、背景も知って欲しいということですね。
あとは「おしゃれって何か」ってことかなと思います。
今までは、トレンドの服を着るのがおしゃれかなと思っていたけれど、これからは、その服の選び方素敵だよね、と言われるのが、おしゃれなんじゃないかと思っています。
これまでの汚れたら捨てて新しいのを買うという洋服選びは、娘や次世代の将来のためにならない。だから、我が子のための「新しいおしゃれ」を父ちゃんたちと一緒に作っていけたらいいなと。アイカさんの活動を通じて、そういうこともアドバイスいただけるのでありがたいです。
本当に「新しいおしゃれ」ですね。
そうです。
これまでは、「安いし、これでいっか。」みたいな感じだったんですけど、本当はおしゃれしたいなと思っていた自分がずっといたんですよね。その思いがあったときに、環境問題とか、生地の生産者の方々のことを考えて、語れる服を選ぶことが「これからのおしゃれ」なのかもしれない。
僕が死んで、その先の世代が生きる時代になったとしても、こういうのが変わらないおしゃれだよな、と自分の中で納得感があったというか。
こういうおしゃれなら、トレンドを必死に追わなくても学んでいけるし、これはこれでおしゃれだなと腹落ちした感じがあります。
実際、こういう服選びでとても満足している自分がいます。またちょっとおしゃれになってきた自分がいるな、みたいに思える自分に喜びも感じます。
おしゃれをすることで父ちゃんたちに元気になって欲しいというメッセージがあるようにも感じました。
僕はすごく楽しめていると思います。
元々服が好きで、本当はおしゃれしたいという人も多いと思うんですよね。
そんな人はぜひ新しいおしゃれな服の選び方をしてほしいなと。
それが子どもたちの将来につながるなら、なおさらいいし、かっこいいと思っています。おしゃれをすることは元気になることにも繋がるので。そんな父ちゃん友達を増やしたいですね。
八木ちゃんの話を聞いて、ますますスローファッションに興味を持ちました。
八木ちゃん、本日はありがとうございました!
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