【後編】日本のこどもも大人も「幸せ」に。スポーツを通じて「自分軸」を見つける場所

▼前編はこちらからご覧いただけます。

まっちゃんは、2023年7月に大阪府吹田市江坂に誕生した、総合型地域スポーツクラブ「e-Spark(イースパーク)」の代表。

このe-Spark、他のスポーツ施設・クラブとはすこし違う。
こどもの自立心を育む方針を徹底的に貫いているのが特徴だ。

鍵は、まっちゃんのビジョン、「人が自分を誇り、未来を向く社会をつくる」こと。

“自ら考え、自他ともに大切にできるこどもを増やす”
“こどもに夢を、未来の日本を元気に”
そんな想いが、独自のカルチャーをつくっている。

彼の原体験、e-Sparkのこどもたちの様子、未来像について伺った。

〜プロフィール〜

総合型地域スポーツクラブe-Spark
まっちゃん / 松田優一朗さん

100年続くスポーツ施設を目指して2023年7月に設立。
大阪メトロ御堂筋線江坂駅から徒歩6分のところにある室内人工芝コート。
子どもから大人まで楽しめ、愛されるスポーツ施設になるため、多種多様なスクール、親子マルシェや季節イベントなどをしております。

声かけから生まれる、こどもたちの「ハマる」瞬間

素敵ですね。自分のこどもも連れていきたいです。
ちなみに、他のスポーツスクールや施設との違いって他にもありますか?

簡単にいうと「ティーチング」と「コーチング」の違いです。

どちらも大切なものではあるんだけど、僕たちは「コーチング」の姿勢を大切にしています。

というと、どんな違いになるんでしょうか。

声かけが変わります。
「こどもたちひとりひとりに考えさせ、導いていく」ことがコーチングだと、僕たちは考えています。

例をあげると分かりやすいかな。

ドッジボールが上手くなりたい!って子に対して、僕たちはまず、「ドッジボール上手い人ってどんな人?」って聞く。
すると、こどもたちからいろんな意見がでてくる。
「最後まで残ってる!」とか「ボール投げるのが上手!」とか。

そこから次は、もう一段掘り下げる。
「最後まで残ってる人ってどういう能力があるん?」
「逃げるのが上手い!」って答えがくる。
こどもたちが意見を出して、最終的に「ドッジボールが上手い」の概念が次の3つあったとする。
・逃げるのが上手
・ボールを速く狙って投げるのが上手
・キャッチが上手

そしたら、そこで聞く。
「じゃあ、自分はどれが得意?伸ばしたい?」って。

アウトプットだけでなく、「自分はどうしたい?」まで考えるんですね!

この一連のやりとりで、「『ドッジボールが上手い』にもいろいろあるんや!」ってこどもたちが考えて気づく。

さらに、「自分もどれかには特化できるぞ!」と、自分の強みや好きに気づくことができる。

大人が全部答えを用意してあげるんじゃなくて、自分で勝手に試行錯誤するような声かけをしています。

小学生たちのバルシューレは、こどもたちだけで作戦会議して、負けたら「なんで?どうやったら上手くいったかな?」って考えてもらう。
スポーツを通じて“課題解決力”を身につけていくんです。

この力はこどもたちの将来に絶対必要になってくるので。
自発的に考え価値基準をつくる環境づくりを、声かけからしていく。
そんな価値提供をしています。

答えに導こうと助け舟を出す、ついこどもにやってしまいそうです…。

もうひとつ事例を出すと、うちの施設では、開放日などにフロアにマットの家を作っておくんです。
こどもたちは必ずその家を壊して、一生懸命つくりなおす。

その時、親御さんはついつい「きれいに」なるように助けちゃう。
僕たちは、つくり直したら、まずこどもたちが自力でマットの家をたてた行為をほめてあげる。
その上で、こどもたちが何をゴールにして、どう考えて行動したのか。
どうやったらもっとうまくできるのか、そんなことを一緒に考えたいと思います。

ひとりの人間として、こどもの意志を尊重する。
親やまわりの大人の行動も大事なんですね。
こうした声かけの積み重ねで、こどもたちの変化は感じますか?

全然違いますね。
例えば、試合をした後がわかりやすいかな。

そこでも僕たちは、他スクールと違いアドバイスはしない。
結果が「負け」でも、「負けてもうたな!どうしたらよかったんやろ。考えてみ?」って。
どこで点を取られて、どうしたらよかったか。
負けたら悔しいって気持ちは自然と出てくるので。

こどもたちからしたら、普段と違う環境で、相手と戦う挑戦をしてみたけど負けた。
「どこが足りなかった?」って自分で考えてみる。

結果、次回の練習の取り組み方が変わる。
それは、こどもたちを見ていて実感します。

すごい!こどもたちが自発的に考えて行動して、成長していくんですね。

次の練習のとき、こどもたちの顔を見ていると、「これがスポーツに『ハマっている』ってことなんだなあ」と感じます。

僕たち大人の存在は関係なく、
「自分がこのスポーツを好きで、やっているんだ!」
っていう顔をしてる。

スポーツの枠を超え、父ちゃんも一緒に幸せになる。

自分の価値基準で判断しているから、こどもたちは夢中になれるんですね!
今でもこどもたちにとって大きな価値提供をしていると思いますが、今後、e-Sparkをどんな場所にしていきたいですか?

他にはない環境をつくり、こどもたちを育てていく。それをさらに強化していきます。
具体的には今後、習い事、座学のスクールなども行うつもりです。

学校終わったらe-Spaekに来て、運動・宿題して、シャワーを浴びて、食事も食べて、習い事・学びまでできる。

ここまで実現したいですね。

すごくいい!お迎えの頃にはこどもたちがやることを全て終えた状態になっている。
家庭での家族との過ごし方にも、良い変化が生まれそうですね!

夏休みには「スパーククラブ」という学童のようなことをやりました。
夏休み期間中に16時まで、お子さんを預かって見守りしながら、一緒にいろいろな活動や遊びをしました。

例えば、宿題、スイカ割り、畑で一緒に収穫した野菜でカレーづくり、水風船バトル、買い物して餃子パーティー、江坂公園でラジオ体操…。

その中で「こども編集局プロジェクト」っていう新しいコンテンツもしました。
学校の先生にインタビューしてこどもたちに記事を書いてもらって。
仕事を知ってもらうきっかけのひとつになったと思います。

すでに次回開催希望もでているので、こういうものも増やしていこうかと思っています。

スポーツの枠を越えてこどもたちを育てていくような取り組みに既に取り組まれているんですね。バラエティに富んでいてこどもも喜びそう!
ちなみに、今後の習い事・座学は、どんなものを予定しているんですか?

実は、ドローンのプログラミング教室とソロタッチというそろばん教室が既に始まっていて、2024年11月から書道教室、アート教室、英語遊び教室を開校しています。

こどもたちの生きていく力につながるような習い事を選定します!

e-Sparkが目指す未来像もありますか?

先ほどお伝えした事業の一連を、民間で実現できると証明できるモデルをしっかり作り込みたいです。
いつかそれが「学校」で普及していったらいいなと思います。

オランダ視察で感じた、日本の教育の課題感を、我々のような外部の地域の民間事業者から補填していくことができたらと思います。

学校が終わったら教室に色々な事業者が来て、こどもたちへのスクールを開く。
僕たちが受け皿となって、格差なくこどもたちが学べる仕組み作りをしたいです。
スポーツの枠にとらわれない、総合型スポーツクラブも日本にどんどん増える。

これはかなり壮大で、現状の制度から変わらないと難しい問題もたくさんあるんですけど…。

幸福度が高いこどもたちを増やしていきたい。
いずれその子たちが次のこどもたちのために活動を広めていく。
それがずっと繋がる世界を作りたい。

社会全体の幸福度をあげたいですね。

構想が具体化して、その輪が増えたら「幸福度の高いこどもたち」も増えていきそうですね!
最後に、e-Spark代表のまっちゃんとして、父ちゃんたちへメッセージはありますか?

僕が言える立場にはありません!(笑)自分のこどもを育てたことがないのでおこがましいというか…。

その上で、あえて言わせていただくならば…。

「大人が楽しく仕事をしてほしい」ということ。
こどもたちは僕たちの背中を見て社会に出る。
だから、ダイレクトに影響を与える身近な大人が楽しく働いている姿をこどもたちに見せてほしいし、見せたいなと。

そして、夫婦で役割分担して、子育てにもっと参加して、どんと構えているかっこいい父ちゃんになって欲しいです!

「父性、父親が弱くなってしまっている」なんて話もありますけど…。
e-Sparkで親子運動会をすると、参加者の父ちゃんたち、とっても張り切って盛り上がってくれるんです!
こどもたちも自分の父ちゃんをものすごく一生懸命応援していて。

日常生活だとなかなかないですもんね、そういう瞬間。
父ちゃんも勇気が湧くというか元気もらえますね。

そういう瞬間ももっと増やせるように、e-Sparkで場所や機会を提供していきたいですね。

スポーツを通じて親子で本気になって、お互いに応援し合う。パワーをもらえる。

僕たちがそんな場所や価値を提供するので!
一緒にそんな瞬間を増やしていきましょう、父ちゃんたち!

そんな親子が増えると、地域がさらに元気になりそうですね!
本日はありがとうございました!

この記事に関わったTOCHANSは...

まっちゃん

総合型地域スポーツクラブe-Spark吹田 代表

大阪吹田の江坂で、100年続く地域に愛される総合型地域スポーツクラブe-Sparkを目指し活動中。「人の未来の種をまくこと」をミッションにかかげています!

may.

フリーランス/ライター/湘南暮らし/ことばと自然がすき

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