【前編】日本のこどもも大人も「幸せ」に。スポーツを通じて「自分軸」を見つける場所

まっちゃんは、2023年7月に大阪府吹田市江坂に誕生した、総合型地域スポーツクラブ「e-Spark(イースパーク)」の代表。

このe-Spark、他のスポーツ施設・クラブとはすこし違う。
こどもの自立心を育む方針を徹底的に貫いているのが特徴だ。

鍵は、まっちゃんのビジョン、「人が自分を誇り、未来を向く社会をつくる」こと。

“自ら考え、自他ともに大切にできるこどもを増やす”
“こどもに夢を、未来の日本を元気に”
そんな想いが、独自のカルチャーをつくっている。

彼の原体験、e-Sparkのこどもたちの様子、未来像について伺った。

〜プロフィール〜

総合型地域スポーツクラブe-Spark
まっちゃん / 松田優一朗さん

100年続くスポーツ施設を目指して2023年7月に設立。
大阪メトロ御堂筋線江坂駅から徒歩6分のところにある室内人工芝コート。
子どもから大人まで楽しめ、愛されるスポーツ施設になるため、多種多様なスクール、親子マルシェや季節イベントなどをしております。

こどもたちの「スポーツ離れ」を救いたい!

本日はよろしくお願いいたします!
e-Sparkは、人工芝コートの室内運動施設なんですよね。
早速ですが、e-Sparkでやっていることを教えていただけますか?

はい。

やっていることは、イベントとスクールの大きくは2つです。

イベントは、定期的にいろいろやっています!
3ヶ月に1度「親子運動会」、2ヶ月に1度「マルシェ」。毎月「ラジモルまつり(※ラジオ体操とモルック)」やドッジボール、バルシューレのイベント。毎週、「開放日」も設けています。

イベントだけでもかなり豊富!スクールはどんなことをやっていますか?

現状は、サッカー(月・水)、バルシューレの2つのスクールです。
幼稚園〜小学校6年生までのお子さんが対象です。

そうなんですね。
2023年の7月に開業されたそうですが、きっかけはあったんですか?

きっかけは、「公園でボール遊びをしているこどもが減ったなあ」とか、「ボール遊び禁止の公園が多くなってる!」とか。そんなところに気付いたところからですね。

たしかに減りましたよね。外で遊んでるこども自体、あまり見なくなりました。
江坂でも、ボール遊び禁止の公園は増えているんですか?

そうですね。
実は、e-Sparkをはじめる前、周辺の公園を全部回りました。すると、8割以上ボール遊び禁止だったんです。

8割!それは衝撃的…。私たちがこどもの頃は、結構してましたよね?

してました。野球とかサッカーなど僕も毎日のようにしてました。
僕が会社員時代に漠然とスポーツ事業やりたいって思っていた時から、「こどもたちが自由に遊べる場所が減っている」ことに課題を感じていて。

「自分軸」で幸せを見つける人を増やしたい

e-Sparkが今の時代のこどもたちにとって貴重な場になっていること、すごくイメージが湧きました。
掲げている指針についてもお聞きしてもいいですか?

はい。指針としてミッション・ビジョン・バリューがあります。

ビジョンは「人が自分を誇り、未来を向く社会を作る」
ミッションは「人の未来の種を蒔く」
バリューは「自分の幸せを持つ、もしくは掴むことができる人間になってほしい」です。。

人ってきっと生まれながらにして幸せに生きたいと思っているはず。
 でも今の時代、その答えを他人に求めてる人が多いんじゃないかと思っていて。

自分にこどもがいたらどう育ってほしいか考えたんです。
「思いやりは持ちつつ、他人軸でなく、自分の幸せを自分がこれがいいって判断してほしい。」ということが浮かんだ。そんな子に育ってもらうための環境を、e-Sparkでつくりたいと思っているんです。

なるほど。日本では、他人からどう見られるかを意識しすぎるあまり、自分軸が持てない人が増えていると言われていますよね。

僕自身、学生時代サッカーやアメフトをを通じて「全国大会出場!」「日本一!」と燃えていた人間でした。

なのに、いざ社会人になったら1年目で燃えない自分がいたんです。それどころか病んでしまった。まさか自分がそうなるなんて思っていませんでした。

なぜそうなってしまったかというと、まさに「自分で判断して」という観点が抜けていたんです。

周りから「いいな、その会社。」って言われるいわゆる大手企業で年収も良い、みたいな企業に決めたんです。
しかも、所属していたアメフト部の同期で1番早くの内定獲得だった。そのステータスに溺れてたんですよね。
「ちょっといい格好できるぞ。大手入社やし!」って思ってたんです。

わかるなあ。就活あるあるですね。

それまで「自分軸」を持って生きてきたはずなのに、社会に出るとなった途端、変わってしまったんです。

自分の想いを持って仕事をすることと、その想いが実現できる職場を一致させるのが必要だと今は思うんですけど、 当時の僕はもてていなかったんです。

漠然とでもいいから自分がこうなりたいってイメージもなくて…。
これってとても怖いことだなと思います。

世界の国々と比較しても、日本は大人の自殺者数も高く、子供の幸福度ランキングはワースト2位だったりする。
簡単に言うと、「大人も病んでて、こどもも病んでる」
この環境やばいなって。日本にはいいところもたくさんあるはずなのに。

逆に上位の国には「オランダ」があったんです。
何が違うんだろうと気になり、オランダ視察にいきました。

オランダで見た、幸せなこどもたち。おとなたち。

オランダまで行かれたんですね!
実際どうでしたか?日本と違う部分や気付きはありましたか?

本当に、幸福度が違う。
『社会全体でこどもたちを育てている』と感じました。

僕が視察させて頂いた学校では時間割からこどもたち自身で決めていた。
1人ひとりが本当に尊重されていて、体育などの共同授業を除いて、別の学年もこどもたちが一緒に勉強するし、逆にどこで勉強してもいい。
進捗度を先生と一緒に確認して進めていく。そんな学校でした。

おもしろい!こどもが主体となり自分の行動の意思決定をしているんですね。
大人はあくまで見守る立場だと。

小学生は、宿題や試験すらないんですよ!
勉強より大切なことがあるってことを学んでいる。
「社会を学ぶ場所」として学校がある。そんな感覚でした。

さらに面白いのは、大人もめちゃめちゃ幸せそうで!
みんな自分軸で生きている。
自転車屋さん1つとっても、17時になったら「はい、閉店。今日は無理です。」先生もそうでした。終わったらすぐ帰る。
そこから全く違う仕事をしたり、家族との時間にしていたり。
大人たちがしっかり自分軸で生きているんですよね。

社会やこどもたちに対して、自分は何をしたくて、どう行動するか。
自分自身のミッションや使命を持っていて、想いと行動が一致している大人たちを見てきました。

自分の心に素直に生きている人が多いのですね。
自分の価値基準に従って行動するから幸せな人が多い。社会全体にそういう文化が根づいている。
e-Sparkの運営にも視察での気づきを反映しているんですか?

はい。e-Sparkが大切にする4つの方針に組みこみました。

1つ目は、「こどもの才能を見つけ、伸ばす心を育む」。
2つ目は、「こどもの自立的・自発的発育を支える」。
3つ目が、「相手を尊重する心を育む」。
最後は、「真面目で素直で一生懸命な心を育む」。

施設のスタッフにも大切にするよう、日々伝えています。

僕らからこどもたちに与える価値は、「自ら考え、自分の意志で行動し、思いやりのある人間に育てる」こと。
そんな文化がe-Sparkにはあります。

続きは後編へ

この記事に関わったTOCHANSは...

まっちゃん

総合型地域スポーツクラブe-Spark吹田 代表

大阪吹田の江坂で、100年続く地域に愛される総合型地域スポーツクラブe-Sparkを目指し活動中。「人の未来の種をまくこと」をミッションにかかげています!

may.

フリーランス/ライター/湘南暮らし/ことばと自然がすき

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