interview
となりの父ちゃんを訪ねて Vol.4
たにっち(谷 充弘) さん
週に3日だけケアマネージャーとして働き、残りの4日は家族の時間、自分の時間にしているというたにっちさん。
そんなたにっちさんも、父ちゃんになった頃は朝も夜も家族の寝顔だけをみる毎日だったそう。
体も心もを壊し、それでも「働かねば、稼がねば」という思い込みに捉われていたたにっちさんがどのようにして「時間の余白」をつくり、日々家族との「一瞬の幸せ」を味わうようになったのか。父ちゃんになってからの約10年間、ありのままの一歩一歩のご経験を伺った。
〜プロフィール〜
マネーシフト実践研究家/ライフコスト・コンサルタント
人格者であった曽祖父が、資本主義の波に呑まれ莫大な借金を背負い、お金に翻弄された家庭に育ち、お金が人に与える影響力の強さを経験する。
30歳、お金のために働く生き方に「このままでは幸せになれない」と思い、「お金とは何なのか?」という問いを立て研究を重ねる。
その後、ポスト資本主義を掲げるNZの作家、四角大輔氏と出会い、お金から自由になる唯一の方法〈ミニマム・ライフコスト〉という概念を学び、実践。
結果、週3日の持続可能なワークスタイルを実現。少ないことが豊かであるミニマル・ライフを営んでいる。
「時間と心」の余白こそが幸せの源。というコンセプトを掲げ、大切な家族との時間を最優先にした生活を送りながら、300人以上へのコンサル経験から培った、お金から自由になる技術を広げる活動を行なっている。
ケアマネージャーで週休4日
たにっちさん、本日は宜しくお願い致します。まずはじめに現在どのようなお仕事をされているのかお伺いしても宜しいでしょうか?
ライスワークとして、ケアマネージャー(以下ケアマネ)っていうおじいちゃんおばあちゃんの介護のマネジメントをする仕事をしてます。リモートワークできるし、自分の裁量である程度できるんですよね。 どれだけ休んでもいいし、どれだけ働いてもいいけど、やることはきっちりやろうねっていう感じ。
そこで正社員として今は週に3日だけ働いて残りの4日は家族の時間・自分の時間にしています。
僕もおばあちゃんの介護の関係でケアマネさんとお会いする機会があるんですけど、ケアマネさんってすごく大変そうなイメージでした。そんな働き方ができるんですか?
なんかうまいこと(笑)
確かに今この業界って、結構紙ベースで非効率なんです。市とか国の仕事もあるので拭えない部分もあるんですけど、できることはかなり簡略化してめっちゃ効率化してって感じで。
予定とかスケジューリングとかも、もともと苦手なんで、ミスるときもあるんですけど、うまくスケジューリングしてとか、やってたらできましたね。イメージしながら勉強してたりとかしてたからそれがちょっとずつ、今も実践してる感じですね。
今も実践中なんですね!元々長く、ケアマネのお仕事をされていたんですか?
もともとは介護の仕事をしていて、実は病んだことがありました。そこから何年もかけてちょっとずつ考えていく中で「もっと時間を自由に使える職業とかポジションはないのか」って思った時に、当時一緒にケアマネさんが働いていて。
その姿を見ながら、俺やったらこうするなみたいなのがずっとあったんですよ。そこで資格取ってみようと思って資格を取って転職したって感じです。
家族の寝顔だけ見る毎日
前職では病んでしまったこともあったんですね。
そうなんです。ちょうど上の子が生まれて1年ぐらいかな、当時謎の観念というか思い込みがあって。
「子ども産まれたら働かないといけない」みたいな。
加えてたまたま仕事を任された時期で、猛烈に働いたんですよ。 頑張らないとみたいな。
それで頑張って結果は多少残したんですけど、その反動でめっちゃ体も心も壊し、働けなくなってという感じでちょっとやられたんですよね〜。
今考えると、もう絶対できへんなって思うんですけどね(笑)
家族の寝顔を見ながら家を出て、寝顔を見ながらご飯食べて寝るみたいな。変なアドレナリンみたいなのが出ていた感じでしたね。
今とは真逆のような生活ですね・・・
絶対今の自分なら即辞めてるなって思う(笑)
当時、自身のご状況ってどんな感じだったんですか?
1、2週間仕事休んで、ずっと家でも寝てるしかない状態だった…
復帰してからも休みの日とか、なんでかわからんけど気づいたら琵琶湖にいるとか。やばかったです(笑)
当時のことは今もようわからへん。多分何かもう全部から離れたかったんやと思います。
奥様も心配してたんじゃないですか。
多分そうやったと思いますね。当時はお互い何も言わへんし、そもそも今のパートナーシップとは全然違いました。
ほんとに何してたんやろうな。記憶がない時もあります。本当にもうだいぶ病んでた。
これまでの働き方から定時退社への挑戦
こんなこと言うのも失礼ですけど、そんな状況からよく今の状態に変化できましたよね(苦笑)
いや〜もう10年ぐらいかかってます(笑)
僕は一気に、2段飛び3段飛びできないんで、1段ずついかないとうまいこといかへんタイプなんで。ちょっとずつでした。
何から始めたとか、あるんですか?
最初は本を読みまくったかもしれないですね。年間300〜400冊ぐらい読んでた。
でも、読んでも行動しないし、当時は何か他にお金を稼げる手段がないのかっていうところにフォーカスしてたし。
今考えたら間違えてたと思います。これじゃ結局変わらなかった。
ただ、とにかく本を読む中で、偶然四角大輔さんという方を知り、彼が主宰しているコミュニティに入ったんです。そこからちょっとずつ考えが変わり、行動していけるようになった。
具体的にはどんな行動をしてみたんですか?
まずは、定時退社っていうところから始めてみて。
定時退社!でも、当時の働き方から定時退社ってめっちゃ難しくなかったですか?
めっちゃ難しかったです(笑)1番時間かかったかもしれない。2、3年かかりました。
そうですよね。。。
ただ、たまたまあるタイミングで異動があって「あ、ここや!」と思ったんですよね。自分の中で。あ、ここで切り替えなあかんわ!って。 新しい環境でちょっとやってみようって思って。
まずは、なんとしても自分の最大の目的はタイムカードを18時にピッって押すことや。業績とか何も関係なく、まず定時退社や!っていうことから始めました。
ときには朝は早めに行って仕事終わらして、定時退社するとか、エクセルに分単位で業務を書き出して業務整理をやったりとか色々やりましたね。
あとは、誰かにお願いできなくて、全部自分でやるっていう性格とか働き方をしてたから、ちょっと勇気を持って誰かにお願いするとか。ちょっとごめんなさいって断るとか。
めっちゃしんどかったし、最初は全然うまくいかなかったんやけど、1つずつ少しずつ積み重なって、歯車が噛み合ってきたら、週に1回は定時退社ができて、 次の半年は2回。2回、3回ぐらいになったら、周りもあの人は定時に帰るんじゃないかみたいな雰囲気になってきて、だんだん加速していって、できるようになったって感じですね。
たにっちさんらしいですね。一歩一歩なんですねここも。
ちょっとずつなんですよね。
だいぶ変わりましたか。体や心とか生活とか。
全然違いますね。心の余裕がまず出きたのと、休みの日に子どもと遊べるようになった。
休みの日は寝てたしどこにもあまり出かけてなかったんです。もったいないことしてたなと思いますけどね。出かけても遊園地行っても俺はもう芝生で寝とくわ。遊ばへんっていうね。あれ。ダメや。
それが、ちょっとずつ子どもたちと遊ぶようになって。ちゃんと家族とか妻のパートナーの話もちゃんと聞けるようになってきたんです。これもちょっとずつでしたけど。
ほんまになんでしょう。1週間、1ヶ月で変わったとかでなくて、多分1年でちょっと変わったみたいな感じのペースでしたけどね。
職場初の男性育休の取得
でも、父ちゃんとしてすごく大きな変化ですよね。
そこから2人目のお子さんが誕生されたんですかね?
そうですそうです。そのころには定時退社ができるようになってきて、職場で男性初の育休取ったんです。子育てって、期間限定のイベントやなって思ったのもあって。それまで育児と言ってもオムツ替えくらいしかしてなかったから。
でも、もっと取ればよかったと思ったんですけど、ビビって3か月しか取りませんでした(笑)
ビビりますよね(笑)でも当時のタイミングで、職場初&3ヶ月の取得はすごいです。
その後、すごい嬉しかったことがあって。
僕が育休とった後で子どもを産んだ男性の仲間たちが、みんな育休をがっつりとるようになったんです。それがすっごい嬉しくて。
こうやって、同じ会社で、いわゆるブラックな働き方から定時&育休取得、そして周りに影響まで与えるわけですもん。 すごいです。
周りも結構協力というか理解が得られたかな。
介護って結構女性の職員が多くて、女性の方はみんな育休とるんですよ普通に。で、こうしたいんですって言ったら、応援してくれる人が、全員じゃないですけど協力してくれる方もいて。
やっぱり反対もあったし、どうすんねん!みたいな声もありました。やっぱりネガティブな声の方が気になるので、でも取るためには流されない自分に変わらないといけないじゃないですか。
自分をどう変えるかっていうのはめっちゃ努力して、そこは頑張ったかもしれないですね。それが一番大変だったかもしれない。
自分と向き合ったタイミングだったってことですね。でも今のたにっちさんの働き方から考えるとまだまだファーストステップですよね?(笑)
そうですね。男性育休を経験してから、ようやくもっと休めへんかなって思うようになりました。
一歩ずつ、ちょっとずつ。それでも確実に変わり始めたたにっちさん。
ここから今の生活に変化していくのか、そして、これからはどのように変化していきたいと思っているのか。
後編へ続く